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eSIMとは?メリット・デメリットと法人おすすめ機種をご紹介
eSIMとは、スマートフォンなどに内蔵されたデジタルSIMを使って通信キャリアのサービスを利用できる仕組みです。
オンラインでの契約や即時開通が可能なうえデュアルSIM機能にも対応しているため、法人契約で導入する企業も増えています。
本コラムでは、eSIMの基本的な仕組みやメリット・デメリットに加え、法人向けにお勧めの機種やモバイルデバイス管理(MDM)との連携について詳しく解説します。

目次
eSIMとは?従来のSIMカードとの違い
SIMカードとは
そもそもSIMカードが何なのかわからない人もいると思いますので、まずはそこから解説します。
「SIM」とは「Subscriber Identity Module」の頭文字をとった単語で、通信回線の加入者を識別するための電話番号や固有のIDなどの契約者情報が記録されています。
スマートフォンやタブレットで通信事業者の回線を使用して通話やデータ通信を行うには、契約済みのSIMカードが必要となります。SIMカードというICチップのような形で、これをスマホやタブレットのSIMスロットにセットすることで利用ができるようになります。

SIMカードは大きさに何種類かあり、miniSIMカード、microSIMカード、nanoSIMカードのように区別されます。契約者は利用したいスマートフォンやタブレット側がどのサイズのSIMカードに対応しているかによって、サイズを選択して契約手続きをする必要があります。
機種変更の際はSIMカードを古い機種から取り出し、新しい機種にセットすることで同じ電話番号で利用ができるようになりますが、通信方式やプラン、MNPで通信事業者を変更したりした場合は、SIMカード自体も対応したものに変更しなければなりません。
eSIMとは
最近では従来の物理的なSIMカードが存在しない「eSIM」と呼ばれる次世代規格のものが登場するようになりました。
eSIMは、2016年~2017年頃からSamsungのスマートウォッチAppleのApple Watchでその技術が採用されました。
その後、2018年にGoogleがPixel 3、Pixel 3 XLで対応し、同年、AppleもiPhone XS、iPhone XS Max、および iPhone XRからeSIMに対応しました。最近と言っても、実は結構前から世に出ているのですね。

eSIMの「e」は「embedded」のことで、その言葉の意味する通り、SIMが最初からスマホやタブレットの中に内蔵(組み込み)されていて、取り出すことができません。
SIMが内蔵されていて取り出せないなら、どうやって契約者情報を記録させるのかというと、オンライン(インターネットなど)で契約手続きを行い、SIMの設定情報をスマホにダウンロード・インストールする方法になります。
これにより、SIMカードを差し替える作業や、SIMカードの種類を変更する手続きはありません。SIMカードの破損や紛失といったトラブルからも解放されます。
従来のSIMカード、eSIMどちらの場合でも、スマートフォンやタブレットは、こうしたSIMに登録されている電話番号などの情報を読み取ることで、契約しているサービスやプランのサービスを利用できるようになります。
eSIMと物理SIMの違いまとめ
従来のSIMカード![]() | eSIM![]() | |
---|---|---|
利用方法 | スマホにSIMを取り付けて使用 | スマホに内蔵されたSIMを使用 |
利用開始までの | 郵送に数日かかる | 最短即日で開通できる |
特徴 | ・物理的に取り外しができる ・対応機種が多い | ・オンラインで開通 ・差し替えが不要 |
eSIMのメリット
さて、それではeSIMにはどの様なメリットがあるのでしょうか。
メリット
契約後すぐに使える
eSIMは契約者情報の書き込みが端末本体で行う操作で完結しますので、契約が済みさえすれば手元の端末を操作するだけで通信回線が利用できるようになります。
従来のSIMカードでは、携帯ショップに行って契約手続きをして書き込み処理をした物理SIMカードを受け取る必要がありましたし、オンラインや法人の営業担当経由で申込をしたとしても物理SIMカードが届くまで何日か待たなければなりませんでした。
特に法人契約の場合、契約完了から実際に利用ができるようになるためのリードタイムは重要なポイントになります。
新しい社員が入社してきた、急な出張がはいったなど、突発的な社内需要で通信回線が必要になったり、普段利用していない別の通信事業者の回線を使いたい時にeSIMでの契約はとても有効です。
メリット
SIMカードの破損・紛失リスクが無くなる
eSIMはスマートフォンやタブレットに内蔵されていて取り外しができません。
SIMカードを破損させてしまった・SIMカードを紛失して電話が使えなくなってしまった。これらは法人契約で沢山の業務端末を運用していてよくある事案です。
eSIMであれば、利用者がSIMカードを取り扱いすること自体がなくなりますので、このようなことは起こりません。
メリット
デュアルSIM運用も簡単
従来の物理SIMカードとeSIMの両方に対応している機種であれば、例えば物理SIMではauの回線を契約し、eSIMでdocomoの別番号の回線を契約することで「au、docomoどちらの通信エリアにも対応したスマートフォン」ができあがります。
元々、1台のスマートフォンに2枚の物理SIMカードのスロットがついていて、2つの電話番号、通信回線を利用できる『デュアルSIM』対応機は出ていましたが、物理SIMカードを何種類も契約・管理するのは企業にとって非常に手間のかかることでした。
eSIMが普及したことにより、メイン回線は物理SIMで、必要に応じてサブ回線をeSIMで契約するといった感じで、より簡単・スピーディにデュアルSIMの運用を実現できるようになりました。
個人で契約、所有している端末を業務に利用する「BYOD(Bring Your Own Device)」を採用している企業にとっても、eSIMでの契約はとても便利です。
eSIM対応のスマホを個人が使っていれば、企業側は物理SIMカードを手配して配布する必要もなく、QRコードを渡して個人スマホで設定してもらえば、「個人契約の番号と会社契約の番号どちらも使えるスマートフォン」ができあがります。プライベート用と仕事用で番号を分けて使用できるので、eSIMはBYODにうってつけですね。
SIMカードの場合

eSIMの場合

メリット
海外利用の利便性
eSIMは海外旅行や出張時に現地のSIMカードを購入する手間が省け、現地の通信環境にすぐに対応できます。
国際ローミングの仕組みよって、日本国内のスマートフォンやタブレットをそのまま海外に持っていって利用することはできますが、国際ローミングの企業にとってのネックは通信料金です。
ここ数年は日本の通信キャリアも定額制料金が整備されていて、以前よりだいぶ安くはなりましたが、それでも高いですよね。
渡航先で現地の通信事業者のプランをeSIM契約で利用することで、高額なローミング料金を避けることができます。現地の通信事業者と直接契約して通信するため、国際ローミングでよくある「渡航先で繋がらない」といったトラブルも起きにくいはずです。
eSIMのデメリット
メリットがあればデメリットももちろんあります。eSIMにはどんなデメリットがあるのでしょうか?併せて解説していきます。
デメリット
古い機種は非対応かSIMロック解除が必要かも
eSIMは端末にあらかじめ内蔵されたSIMですので、非対応端末(古い機種)は当然利用ができません。
また、端末にSIMロックがかかっている場合は解除する必要があります。
SIMロックは特定の通信事業者のSIMしか利用できないように端末に制限をかけることで、総務省は2021年10月以降に発売される機種からSIMロックを原則禁止としており、現在日本国内で発売されている機種はSIMフリー(SIMロックがかかっていない状態)となっています。
2021年10月より前に発売されている機種はSIMロック状態を確認し、ロックがかかっていれば解除してからeSIMの契約申込をしてください。
SIMロック解除は機種購入元のキャリアショップやWebで手続きをすることができます。
デメリット
通信事業者によってはeSIMに対応していないことも
自分の利用したい通信事業者がeSIM契約に対応していないと、申込することはできません。
docomo、au、SoftBank、楽天などの大手キャリアはeSIM契約に対応していますが、「格安SIM」を提供しているMVNOですとeSIMの申込ができないことがありますので、申込前に公式サイトなどで確認することをおすすめします。
デメリット
通信トラブル時の対応
スマートフォンやタブレットで通話・データ通信ができなくなった際、まず最初の原因切り分けで「端末本体とSIMカード、どちらに不具合があるのか」を確認します。
従来のSIMカードであれば、本体にSIMカードをセットしなおしたり、他の端末にセットされているSIMを代わりに挿してみて通信できるか確認したり、その場で何らかの対処ができましたが、eSIMですとSIMが内蔵されていますので、それができません。
対応として、eSIMの設定を再度ダウンロード、インストールして通信が改善するかを確認する方法がありますが、それには事業者側でのQRコード発行等の手続きが必要で、時間がかかることがあります。
このように、通信トラブルの原因を切り分けるのに手間がかかったり、eSIMに不具合があった場合に対処に時間がかかってしまうことがありますので、もしもの際の手続きフローを導入前に確認しておきましょう。
デメリット
管理上の手間
eSIMはあらかじめSIMカードが端末に内蔵されているため、データのやりとりで契約者情報の書き換えが可能であることや1台で複数のeSIM契約が可能であるという利点があるとご紹介しました。
ですが、大量の端末を運用したりデュアルSIM運用で部分的なeSIM契約をしている場合は「どの端末のeSIMでどの番号を契約しているのか」「どの端末にeSIM契約が入っているのか」が分からなくなってしまい、結果的に管理が複雑になってしまうことが考えられます。
また、法人で契約している端末に勝手に個人のeSIM契約をいれられてしまったらどうでしょうか。コンプライアンス、セキュリティの観点からもまずいですよね?
このような課題は、eSIM管理やeSIMの機能制限に対応したMDM(Mobile Device Management)を導入し、適切な機器管理をすることで解決できます。
eSIM対応の法人向けおすすめ機種
eSIM対応の機種は特殊なものではなく、法人向けに多数導入されているおすすめ機種も対応しています。ここではその一部をご紹介します。
人気のiPhoneSE3やタフネススマホのTORQUE G06もばっちりeSIMに対応しております!
※提供機種、提供料金は予告なく変更となる場合があります。
eSIMを契約する際の注意点
eSIMを契約する際、以下の点に注意が必要です。
項目 | 内容 |
eSIM契約時 | ・eSIM利用には、SIMロック解除された端末が必要です。 ・iOSの場合、iOS12以前のバージョンの場合は、eSIMプロファイルのダウンロード前にOSのバージョンアップが必要です。 |
複数回線の利用 | eSIM対応スマートフォンの場合、1つの端末に複数のeSIMプロファイルダウンロードが可能です。 音声通話/データ通信で利用する回線を、物理SIM /eSIMでそれぞれ1回線ずつ設定することで複数回線の同時設定ができます。 ※iPhoneの場合、iPhone13モデル以降は音声通話/データ通信で利用する回線を、両方eSIMで設定することが可能です。 注1)ただし、複数回線の同時設定については動作確認の保証をしておりませんので、案内時にはご注意ください。 注2)複数回線利用のお客様で、通話定額サービスに加入していない回線にかかってきた着信に折り返し発信をした場合、通話料金が高額になる恐れがあります。電話をする際は、音声通話で利用設定をしている回線での発信かを確認いただくよう、ご注意ください。 |
プロファイルダウンロード | ・「eSIMプロファイル」のダウンロードを行うことで利用可能となります。 ・eSIMプロファイルのダウンロードには、Wi-Fiへの接続が必要です。 ・一度ダウンロードした「eSIMプロファイル」は、他の端末では利用不可です。 以下のような場合はeSIMの再発行が必要となります。 ▷誤った端末にeSIMプロファイルをダウンロードした場合 ▷ダウンロードされたeSIMプロファイルを削除した場合 |
eSIMの管理を便利にするツール「MDM」
デメリットでも解説しましたが、eSIMは便利な反面、多数の社用携帯を運用するには管理が複雑になってしまうことが考えられます。管理する際に一番に思い浮かぶのは「誰がどの端末にどのeSIMを紐づけているのか?」という部分だと思います。法人でeSIMを利用する際は、eSIMと端末本体の情報を紐づけて管理すること、eSIMの利用や設定の変更を制限することが大事です。
これをエクセルや紙で管理しようと思うとなかなか大変です。そのため、サンテレコムジャパンでは導入前に将来的なeSIM運用やBYOD運用を想定する際に、eSIM関連の機能に対応したMDMを検討することをおすすめしています。
MDMとは、モバイル端末を一元的に監視・管理するためのサービスやソフトウェアのことです。詳しくは別途解説コラムをご覧ください。
最近ではeSIMなどの新しい契約形態、BYOD運用など、デバイスの種類・運用方法も多様化してきました。サンテレコムジャパンでは物理SIMだけでなく、eSIMの管理も対応しているMDM製品「Optimal Biz」を取り扱いしております。
OptimalBizはeSIMの管理機能はもちろんのこと、スマートデバイス紛失・盗難時のリモート制御、デバイス情報の一元的な管理・機能制限、各種設定ポリシー、アプリケーション配信機能などを備えておりデバイスのセキュリティ向上、運用効率化に非常に有効です。
まとめ
いかがでしたか?
eSIMは、即時開通、デュアルSIM運用への活用など、今後法人スマートフォンでも導入が進むことが予想されます。本記事がeSIM導入時の注意点把握や管理方法の検討にお役に立てれば幸いです。
サンテレコムジャパンでは、eSIM対応デバイスの管理に役立つMDM製品の提案、環境構築・導入支援はもちろんのこと、スマートデバイスの調達からキッティング作業、納品、運用業務までワンストップで対応し、多数の企業様に採用いただいております。スマートデバイスのMDM管理・運用・スマホのキッティングなどでお困りの企業担当者様!!弊社が課題解決いたします!是非サンテレコムジャパンにご用命ください。
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